「どれだけ時間かけてるんだよ。サクマさんの時間取らせてるんじゃないよ」
隣に並んだ僕を振り返る未成年は、開口一番に僕を睨みつけて言う。
今メイクしてくれた人はサクマさんと言うんだ。僕は睨んでいる子の胸元を見……『羽山』という名字が付いている名札に気づく。ちなみに僕の胸元にも『立花』がつけられている。
「えっと……?」
よくわからないから質問しようとすると、羽山くんは舌打ちをしてまた僕を睨む。
「鈍臭い。こんなやつがスカウトされるとか意味わからない。即効根を上げるだろうな」
「そう、デスカ……」
鈍臭いとか、慣れてないのは事実だから否定はしない。なんか嫌な子なのでもう会話するのはやめよう、と目の前で撮られていく他のモデルの卵を見つめていく。
(かっこいい、な)
本当に僕がスカウトされたのだろうか。何かの間違いではないだろうか。
でも、確かに僕は白百合さんと彼女の父に会って契約書にサインをしたのだ。
「はい、脱いで」と言われて淡々と上裸になっていく被写体。
(わ、すごい。というか、ぼ、僕もあれやるの⁉︎)
体なんか鍛えてないし、少し前までオタクだったのだ。サッカー部の坂下くんや野球部の矢野くんなら引き締まった腹部だったかもしれないけれど。
どうしよう、段々と自信がなくなってきた。
「どうしたんだよ、顔色悪いぜ?」
目敏く気付いた羽山くんが僕を見てふふんと笑う。
「お前、まさか顔だけの奴か?」
よくわからないけど。SNSで拡散された話からオファーがあったから、そうなのかな。
「お前みたいな『何となく事務所に入った』奴が一番ムカつくんだよ」
グサ、グサ、と羽山くんの言葉が胸に突き刺さる。僕もそれなりに、覚悟を決めて芸能界に踏み込んだはずなのに。
羽山くんからしたら僕の覚悟は浅いらしい。
「俺はトップになる。絶対に有名になる。いつかはサクマさんを専属のメイク担当として雇えるくらいに」
羽山くんは隣のメイク室でモデルの卵をメイクしていくサクマさんを見つめている。その目は熱い。
「羽山くんは、サクマさんのこと……」
ギロ、と睨みつけられ僕は口を閉ざす。
「全員蹴落としていくつもりだから」
羽山くんの名前を呼ばれる。カメラマンの前に立ちあれだけ僕を睨みつけていたのに今はスンッと澄ました顔になってポーズを撮っていく。
「聞いた? 羽山、次の事務所企画のランウェイ候補らしいよ」
「まあ、あれだけ手慣れていればな〜」
僕の後ろに並んでいる男子2人が話していく。
(羽山くんは、この世界で生きていくことに本気なんだ)
じゃあ、僕は?
そーちゃんに振り返ってほしいという希望の僕は?
何に本気なのだろう。
わからないまま「服を脱いで」という指示に従って引き締まった上裸を見せてくる羽山くんを見つめる。
「立花くん」
名前を呼ばれる。いよいよ出番だ。
返事をして、震える足を何とか動かしカメラマンの前に立つ。
隣に並んだ僕を振り返る未成年は、開口一番に僕を睨みつけて言う。
今メイクしてくれた人はサクマさんと言うんだ。僕は睨んでいる子の胸元を見……『羽山』という名字が付いている名札に気づく。ちなみに僕の胸元にも『立花』がつけられている。
「えっと……?」
よくわからないから質問しようとすると、羽山くんは舌打ちをしてまた僕を睨む。
「鈍臭い。こんなやつがスカウトされるとか意味わからない。即効根を上げるだろうな」
「そう、デスカ……」
鈍臭いとか、慣れてないのは事実だから否定はしない。なんか嫌な子なのでもう会話するのはやめよう、と目の前で撮られていく他のモデルの卵を見つめていく。
(かっこいい、な)
本当に僕がスカウトされたのだろうか。何かの間違いではないだろうか。
でも、確かに僕は白百合さんと彼女の父に会って契約書にサインをしたのだ。
「はい、脱いで」と言われて淡々と上裸になっていく被写体。
(わ、すごい。というか、ぼ、僕もあれやるの⁉︎)
体なんか鍛えてないし、少し前までオタクだったのだ。サッカー部の坂下くんや野球部の矢野くんなら引き締まった腹部だったかもしれないけれど。
どうしよう、段々と自信がなくなってきた。
「どうしたんだよ、顔色悪いぜ?」
目敏く気付いた羽山くんが僕を見てふふんと笑う。
「お前、まさか顔だけの奴か?」
よくわからないけど。SNSで拡散された話からオファーがあったから、そうなのかな。
「お前みたいな『何となく事務所に入った』奴が一番ムカつくんだよ」
グサ、グサ、と羽山くんの言葉が胸に突き刺さる。僕もそれなりに、覚悟を決めて芸能界に踏み込んだはずなのに。
羽山くんからしたら僕の覚悟は浅いらしい。
「俺はトップになる。絶対に有名になる。いつかはサクマさんを専属のメイク担当として雇えるくらいに」
羽山くんは隣のメイク室でモデルの卵をメイクしていくサクマさんを見つめている。その目は熱い。
「羽山くんは、サクマさんのこと……」
ギロ、と睨みつけられ僕は口を閉ざす。
「全員蹴落としていくつもりだから」
羽山くんの名前を呼ばれる。カメラマンの前に立ちあれだけ僕を睨みつけていたのに今はスンッと澄ました顔になってポーズを撮っていく。
「聞いた? 羽山、次の事務所企画のランウェイ候補らしいよ」
「まあ、あれだけ手慣れていればな〜」
僕の後ろに並んでいる男子2人が話していく。
(羽山くんは、この世界で生きていくことに本気なんだ)
じゃあ、僕は?
そーちゃんに振り返ってほしいという希望の僕は?
何に本気なのだろう。
わからないまま「服を脱いで」という指示に従って引き締まった上裸を見せてくる羽山くんを見つめる。
「立花くん」
名前を呼ばれる。いよいよ出番だ。
返事をして、震える足を何とか動かしカメラマンの前に立つ。



