僕はあなたの星になる

 いつも協調性無いくせに、こういう時だけは一致団結しているのか「放課後は写真部の教室借りた!」という話になり。
「写真部が写真撮ってくれるって!」という話になり。

 みんなで記念撮影しながら、また特典会のようにツーショットを撮っていく。
 そーちゃんも写真部なのでもちろん同じ部屋の中にはいたけれど。

 ただこちらを見つめるだけで、僕のことを撮ろうとはしない。それにつまらなそうだった。

 僕が、被写体になっているのに。
 何が気に入らないのだろう。

 一通り撮り終わって、お開きになった時にそーちゃんの元へ向かえば「スカウト受けるの?」と尋ねられる。
 
「決めてないけど、クラスは大盛り上がりで……」
「ふーん。……良いんじゃない?」

 口角を上げて。目元は笑わず。
 本当にそう思ってるの?

「……何か、不満なの?」
「別に。早く帰ろ。家まで送るから」

 やっぱり、おかしい。
 保健室ではそーちゃんの優しさに包まれていたのに、今はよそよそしい。

「今日も、僕が被写体なのに1枚も撮らなかった。どうして?」
「あー。……ああいう時のテルくんは。別に撮りたいとは思わないから」

 撮りたいと思わない。

 その言葉が、胸に深く突き刺さるナイフのようだった。ドクン、と心臓が1つ跳ね……胸を押さえる。

 撮りたいと思わないということは。
 そーちゃんの興味はもう僕には無いということ。
 今まで仲良くしてくれていたけれど……今日一緒に帰ったら、もう会ってくれなくなるのだろうか。

 それは……嫌だ。
 どうしたらそーちゃんに興味持ってもらえる?

 ……僕がもっと魅力的な被写体になれば、またそーちゃんはカメラを構えてくれる?

 どうして僕は。
 こんなに必死なのだろう。

「白百合さんに言って……正式に契約しようと思う」

 僕がもっとカッコよくなって、良いモデルや俳優になって。僕が魅力的な人物になったら。

 そーちゃんはまた僕に興味を惹かれるだろうから。

「……そ」

 なのに、そーちゃんからの返信はそれだけで、背を向けられる。何が、駄目? 何が良くない?

 何が僕とそーちゃんの距離を遠ざけている?

「ほら、早く荷物もって。帰るぞ」
「……あのさ。ちょっと……寄り道しない? 欲しいものが、あって」

 情けなくも声が震えた。
 嫌われたのかもしれない。

 せめて最後に、一緒に遊びに行こう。
 憧れてたんだよね、放課後に誰かと遊びに出かけるの。

 ずっと背を向けていたそーちゃんがやっとこちらを向く。でも、笑ってくれない。

「……いいけど、暗くなる前には帰るからな」

 そんなに僕と一緒にいたくないんだ。

 先に廊下を歩き出すそーちゃんに気づかれないように熱くなった瞼を雑に腕で拭い「待ってよー」と(おど)けた声で追いかける。