ライフ回復、ご当地グルメしか勝たん!

「……というわけで、佐藤さん。ここにショートカットを作っておいたのでもしも本社やお客様からZoomで会議で、と言われたときにはここをダブルクリックしてください」

「へぇ。しょおとかっと? っての? 便利だねぇ。ありがとうね由良さん」

 おっとり返事しているのは、ここで一番年長の佐藤さんだ。
 御年六十。
 私が苗字でなく由良さんと呼ばれるのは、この佐藤さんがいるからだ。

 私も佐藤さん、この人も佐藤さん。
 紛らわしいから私は由良さんなのである。 

 私がここに来た初日、電源を切るときにシャットアウトでなくコンセントを引っこ抜くとかいう暴挙をしていたから指導した。

 コンセント引っこ抜いてのシャットアウトはダメゼッタイ。

「そういやぁ由良さんてさ、彼氏いるの?」

「は? 仕事に関係あります?」

 一瞬素が出てしまった。
 セクハラやぞ。

「ゆらって苗字にもあるじゃない? だから由良さんがゆらさんと結婚したら名前がユラユラになるのかなって。はっはっはっ」

「ハハハー」

 何がおもろいねん! 小学生しかやらん名前いじりやぞ、ラリアットかますぞコラァ!
 思っても言ってはいけない。
 相手は年長者様やぞ。

 時計を見ればもうすぐ終業時間だ。
 長い戦いだった……まじで長かった。

「由良さん、また来てよ。おれ昨日家に帰ってみーちゃんとZoomしたら、「じいじすごおい!」って言われちゃったんだよ」

「良かったですね、山崎さん。さすが支社長です!」

「由良さんのおかげさね。ありがとうな」

 支社長が使いこなせるようになったなら結果オーライ、みんなが最低限パソコンを使おうという気になってくれてるなら私の役目は果たせたというところだ。

 でもとりあえず、本社への報告メールには全員毎週末に30分パソコンスクール通えって書いとこ。