十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

希沙と知り合ってからは昼休憩時間、みんなで集まって弁当を食べるのが日課になった。

 机を六つくっつけてそれぞれ持ってきたものを食べたり、お菓子をシェアする。 

 リクはコンビニのサンドイッチをくわえながら、自動二輪免許の教本に視線を落としている。

「リク、バイクの免許取るのか?」

「おう。バイクで風を切るの、かっこいいじゃん。仮面ライダーっぽくて。今はバイトで車学に通う金貯めてるとこ。ゴールデンウィークもほぼシフト入ってんだ」

「すごいな。俺も見習おう」

 和香たちの通う高校はバイトも自動車学校も禁止されていない。

 春生まれの人はすでに教習所通いなんてのも普通だ。

 リクは自動車学校のお金も自分でなんとかしようと働いている。

 希沙も「欲しい服を買いたいからバイトする」と休み時間に履歴書を書いていた。