十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

 世間一般の普通(・・)に苛立ったところで、小娘二人の言葉に世界を動かす力はない。

 和香とリクにとっての普通は、世間では異常。

 非常識だった。

「心が女の男も含めてくくると、オレたちみたいなのをトランスジェンダーって言うんだって」

「……そっかー」

 和香とリクがまだ会ったことがないだけで、属性名がつくくらいには心と体の性が一致しない人がいる。

「他にこのこと伝えた人っているか?」

「いや、母親以外では水沢が初めて。父親にも、そのうち話す。やりたいことがあるから」

 和香もこれまで、誰にも言えなかった。

 そうだろうと思う。

「やりたいこと?」

 和香が聞き返すと、リクは自分の胸を拳で叩く。

「性別適合手術を受けようと思うんだ。調べたらそういうのがあるってわかって、主治医から病院を紹介してもらった」

 心に合うよう、体にメスを入れて男の体になる。

 それがリクのやりたいことだった。