十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

 ペットボトルを握るリクの手は震えていて、すごく緊張していたのがわかる。

「ここで気持ち悪いって言われてたら、生きていけない」

「そんなこと言わない」

 ポテトスナックのフタを開いて、タバコどうぞみたいに俺の方に向ける。

 ありがたく一本もらって口に放り込む。

「球技大会のとき、オレが彼氏いんだよねって話をしたこと覚えてるか?」

「覚えてる。あのときは失礼なこと言って悪かったな」

 リクもあのときのことを覚えていた。

「あの日、彼氏が(・・・)いることに驚いたって言ったろ。なんで?」

「恋人がいることには驚かなかったけど、いたとしても彼女(・・)だと思ってた」

 リクがすべて打ち明けてくれるなら、和香ももう隠すことはない。

 あのとき感じたことを素直に話す。