十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

 雪江の行きたい学校と市内の学校、興味のない大人から見ればジャンルは同じ。

 だけど雪江にとってはそうじゃない。

 調理師学校と一口に言っても和食に特化した学校、フランス料理の指導が得意な学校など様々だ。

 雪江の希望する学校は学校給食の調理師を目指せる学科がある。

 その代わり家から遠いから、ひとり暮らししないといけない。

 市内の学校なら家から通える。

 しかし雪江の望む学科はない。

 雪江に家を出てほしくないんだろうな両親は。

「雪江の話を聞いているとさ、大変なのは俺んちだけじゃないんだなって思うよ」

「水沢のとこは許してくれたのか? 美術学校」

 リクに聞かれて、ブイサインする。

「俺が絶対譲らないってわかったみたいで、同意書にサインしてくれた。粘り勝ち」

 美術学校なんかに行くくらいなら就職しろ、無駄金だ! としつこかった。

 進学費用を一円も出してくれないくせに、進路に口出ししないでほしい。