十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

 高校に入学してから、制服がないことがどれほど幸せかかみしめている。

 中学校の制服を改造している人。

 ゴスロリの人。

 スーツの人。

 みんな思い思いの服を着ている。

 髪色もピンクだったりみどりだったり、見ていて楽しい。

 だから和香がベリーショートヘアでTシャツにデニムパンツでも誰も気にしないし目立たない。

 親にはいい顔をされない。

「髪色が派手な生徒ばかりの学校なんて普通じゃない。不良高校じゃないか。なんでもっと普通の学校を選ばなかったんだ」

 なんて、入学式のあとに言われた。

「このあたりの制服校はどこも女子制服はスカートだから嫌だ」

「女なんだから制服がスカートなのは当たり前だろう。私服だからなんて理由でこんな底辺校を選ぶなんて。うちの子がここに通ってるなんて恥だ。ご近所に顔向けできないだろうが」

 親が言う普通、普通じゃないってあくまで親の基準の普通だ。

 好みの高校は入れたが、和香はあまり社交的な方ではないから、友だちと呼べる人はできていない。

 一人で学校までの道を歩いて、一人で駅までの道をいく。
 入学から二週間ほど、ずっとそんな感じだった。