十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

 夏休みの間に、高校の友だちと遊びに行くことになった。
 和香と希沙、リク、そして希沙を介して友人になったクラスメート、計六人。

 お好み焼き屋の大テーブルについて、それぞれ違う種類のお好み焼きを注文する。

「これを六等分すれば、一枚の値段で六種類の味を楽しめるっしょ。“希沙アタマいいー!”ってほめて! たくさんほめて!」

 自画自賛する希沙。

「希沙あたまいー」

 褒めてほしそうだから、乗っておく。

「もっと希沙をほめていいんだよみんな!」

 褒めたらさらに増長した。

 和香はわりと口数少なめで無愛想な自覚があったけれど、希沙たちと知り合ってからは少しだけノリというのがわかってきた気がする。

 ここは自分たちで焼くスタイルの店。
 鉄板の大きさを考慮して、みんなで手分けして二枚ずつ焼いていく。

 カツオブシがちりちりとソースの上で踊る。

 希沙が豚玉をコテで刺して六等分にする。

 くだらないことで笑いあって焼いて食べてを繰り返すうちに、あっという間に六枚のお好み焼きを完食していた。