ある配信者の半生 ー学歴至上主義の両親に捨てられた僕の物語ー

 休みの日は旅に出るのが習慣になったあるとき、ひとつのアイデアが浮かんだ。

 「この景色、誰かに見せたいな」

 その日から、僕は旅リポートを始めた。

 ブログを開設し、これまでの旅で撮りためてきた写真を載せる。
 おいしかった定食屋、景色がきれいな場所。その時に思ったことなんかをつづる。

 動画配信のチャンネルを開設して、旅の魅力を紹介する動画を投稿していった。

「今日は栃木県の那須塩原(なすしおばら)に来ました。ここって足湯が多いから、気軽に楽しめるんです」

小豆島(しょうどしま)に来ました! 透明度の高い海が広がっていて、潮風が気持ちいいです。オリーブのいい香りがします!」

「青森に来ました! 雪が積もってて寒い! 駅前の朝市で美味しいりんごを買ったんです。すっごく甘くてサッパリしてて、いくつでも食べられる!」

 地元の人たちに教えてもらった観光ガイドに載らないようなスポットや、旅の裏話も交えて動画を投稿し続けた。

 最初は数十人のフォロワーしかいなかった。

 気がつけば数百人、数千人、数万人。

「次のおすすめスポットを教えて!」といったリクエストが届くようになった。

 動画の収益も得られるようになった。

「ユウトさんの動画で、行ってみたい場所がいっぱい増えました!」

「仕事が忙しくてなかなか旅行に行けないけど、ユウトさんの動画で行った気分になれました!」

 コメント欄には、そんな温かい言葉が並ぶ。

 応援してくれる人がこんなにいる。

 僕はここにいていいんだ。

 誇れるような学歴がない僕でも、いいんだ。