ある配信者の半生 ー学歴至上主義の両親に捨てられた僕の物語ー

 次の日から、僕はハルさんについて裏方業務を学んだ。

 シーツの交換、布団の上げ下ろし、忘れ物のチェック、掃除。

 学ぶことはたくさんある。

 旅館の人たちは、みんなあたたかかった。
 一つ一つ丁寧に仕事を教えてくれて、真剣に向き合ってくれる。

 サエさんが作ってくれたごはんをお腹いっぱい食べて、温泉につかり、あたたかな部屋で眠る。

 人の優しさに触れられるのはとても幸せなことだと知った。
 感謝してもしたりない。

 みんなに一つでも多く恩を返したい。

 足手まといになりたくないから、教わったことは一つ一つメモを取り、その日の仕事終わりに見直す。
 ハルさんに確認を取る。

 ここに来たばかりの日に細かった腕は、力仕事でだんだん筋肉がついていくのがわかる。

 初日に重くて持ち上がらなかった荷物も、軽く持ち上げられるようになった。

 知らない町、知らない人。

 誰も僕を知らない。

 あの人たちが絶対としていた「学歴史上」というオリの外は、とても広くて美しかった。