ある配信者の半生 ー学歴至上主義の両親に捨てられた僕の物語ー

 
 ひと通りサエさんから寮の説明を受けたあとは、作務衣(さむえ)を受け取って、袖を通してみた。

「荷物をおいて着替え終わったらおいで。あなたの先輩に紹介するから」

「はい」

 着替えてすぐ、先輩のところに案内してくれた。

 サエさんは掃除用具を抱えた男の人に声をかけた。
 僕よりも何歳か年上かな。

「ハルさん。彼はユウトさん。明日からうちの裏方で働いてくれることになったから。仕事を教えてあげてね」

「はい」

 ハルさんはいったん道具を置いて、会釈する。 

「おれは田上(たがみ)ハル。ここで働いて三年になる。よろしくたのむ」
「神宮寺ユウトです。よろしくお願いします」

 勢い良く頭を下げると、ハルさんは笑顔で僕の肩を叩いた。

「そう固くならなくていいって。おれとそんな年も違わないだろうし。もっと肩の力抜いていかないと持たないぞ」

「は、はい!」

 この人が先輩なら、うまくやっていけそうな気がする。