ある配信者の半生 ー学歴至上主義の両親に捨てられた僕の物語ー


 女将の名前はサエさんといった。
 従業員用の寮に案内される。

 四畳半の畳部屋。

 敷ふとんと折りたたみのミニテーブルとテレビが置いてあるだけの、シンプルな部屋だ。

 障子を開けると山が見える。

 なんだか、田舎のおばあちゃんの家に雰囲気が似ている。

「この部屋を好きに使ってくれて構わないわ。トイレとお風呂は共用。一階の右奥が男子用の大風呂。好きな時間に入っていいのよ」

「入浴の時間が決まってないんですか?」

「ええ。朝番と夜番の人だと生活リズムが違うから、それぞれ好きなタイミングで入れたほうがいいでしょう?」

 たしかに、そのほうが効率的だ。

 僕は促されるままに、浴場をのぞいてみた。

 体を洗うスペースは十人同時に入っても大丈夫そうな広さがある。

 行ったことないけど、銭湯ってこんな感じなのかな。

「従業員食堂は毎日朝の六から八時、昼は十一時から十三、夕方のは六時から八時に開いているの。外食したい人は外に食べに行ってもかまわないわ」

「わかりました」