当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 もくろみどおり響司は阿部と付き合いはじめた。

 阿部はよく笑うようになった。

 響司と二人で、よく音楽の話に花を咲かせている。
 
 響司も阿部と話しているとふだんより楽しそうだし、阿部の写真を待ち受けにしている。

 そしてなにより、誕生日にバレッタをプレゼントしていた。

 阿部はそのバレッタを毎日つけている。

 すごくお似合いだ。
 お似合いすぎて、悔しいという気持ちすらわかない。

 

 あいつが幸せなら、隣に立つのは俺じゃなくていい。

 せめて友だちとして、近くで笑顔を見ていられたら。


 ……だってそうだろ?

 俺はあいつを守るどころか、いじめのきっかけを作った。
 
 あのとき失言しなければ、俺は、阿部の隣に立てたんだろうか。