当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 俺が六歳のとき、近所に阿部一家が引っ越してきた。

 近所の空き家に、引っ越しトラックがとまっていた。

 おふくろが「引っ越してきたおうちには、須直と同じ年のお子さんがいらっしゃるんですって」言っていた。

「俺とおなじ年ならさ、いっしょにバスケできるかな」

「かもしれないわね」

「よっしゃー! 親父だと、てかげんねーんだもん。たのしくねーんだ」

「あらあら。言われてるわよー、あなた」

 おふくろに遠回しに詰められて、親父は口笛を吹きつつマンガを読むふりをし始めた。

 大人のくせに、小学生にもなってない息子に手加減しないとかどうなんよ。

 とにかく。
 俺の中では、"ご近所さんは同い年の男の子でバスケ仲間になってくれる"という想像が膨らんでいた。