当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 体育祭を明日に控えた日。

 あたしは数人の班員と、体育館の床に白いカードを並べていた。

 借りもの競走のお題を書く係だ。

 うちの学校は地域交流を大事にしているから、観客も競技を楽しめるようになっている。


 帽子をかぶった子とか、メガネをかけた大人とか。

 生徒以外も借り物の対象なのだ。

 毎年、見に来ているおじいちゃんや、幼稚園の子の手を引いて走るところが名物。

 同じ準備班になっている葉月さんが、マジックを動かしながら聞いてくる。

「華音ちゃん、さいきん毎日そのバレッタしてるね。華音ちゃんの瞳の色に似てて、かわいい」

「Danke《ダンケ》! 誕生日に、キョウジがくれた。メッセージカードもあるヨ」

「…………へぇ。響司くん、そういうことするんだ。意外」

 葉月さんの声のトーンが落ちた。