当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 胸の奥があたたかい。
 贈り物を受け取ってもらえることって、こんなに嬉しいんだ。


「えへへ、あたし、うれしいよ。かほうにするヨ」

 手鏡を出して、自分でもバレッタを確認する華音。
 

 喜怒哀楽わかりやすいから、本当に心から喜んでくれているのが伝わってくる。

 ああ、華音のこの顔を見ている時間が、好きだな。
 一緒にいるこっちも幸せになるような、日だまりのような笑顔。


 ──僕は嘘の恋人で、華音が好きなのは、沢。
 こんなこと、思っちゃいけないのに。

 華音のそばで、もっと笑顔を見ていたいなんて。