当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 華音は胸の前で小箱を抱えて、目に涙を浮かべる。

danke(ダンケ)。ちゃんと……ちゃんと、つたわってる。しあわせ」

 メッセージカードを手に取った華音の頬が、真っ赤になった。

 文字を目で追いながら、ちらちら僕を見る。

「…………キョウジ、これもテンチョさんにおそわった?」

「ん? 誕生日おめでとうは、こう書くんだよって言われたからそのまま書いたんだけど、どこかまちがえてたかな?」
「んーん、なんでもなーい」

 華音はニコニコして、メッセージカードを生徒手帳に挟んだ。

 バレッタを取り出して、太陽にかざす。

 翠の石がキラキラと光を反射する。

 目を輝かせた。

「きれい」

 華音はシュシュをとってポニーテールにしていた髪を下ろし、前髪をサイドに寄せる。

 左にかかる髪をバレッタで留めた。

「どう?」
「似合ってる」

 きっと似合うと思って選んだけれど、想像よりずっと華音の髪に映える。