当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 案内された棚には、レザーや木製などたくさんの髪留めが並んでいる。

 その中のひとつに、目がとまった。

 シルバー製のリーフモチーフのバレッタ。

 葉っぱを模したエメラルドグリーンの石が入っている。

 店の照明にかざすと、ステンドグラスのよう。

 華音の瞳の色に似ていて、きれいだ。

「これにします」

 カウンターで待っていた歩さんが、バレッタに合いそうなケースを用意していた。

「うふふ。お買上げ、ありがとうございます。贈答用ラッピングはサービスしておくわね」

「いいんですか?」

「いいのよ。そのかわり、次は彼女と一緒に来なさいな。宣伝してちょうだい」

 笑顔で言われて、僕もつられて笑う。

 いい人だなぁ。ユーモアがあって、話も面白くて、商売上手。

「メッセージカードもつけられるわよ」

「ありがとうございます。じゃあカードもください」

 カウンターの横にはメッセージカードを書けるようにテーブルセットが備え付けてある。

 そこに腰を下ろして、ペン立てのマーカーを借りる。

 華音はふとしたときドイツ語が出るし、メッセージもドイツ語のほうが華音もうれしい、かな。