当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 明日は、華音の誕生日だ。

 何か贈りたいと思ったけど、僕はプレゼントなんて選んだことがない。

 そんな僕が連れてこられたのが、

 異国情緒あふれるセレクトショップだった。

 五月半ば。

 朝起きると、メッセージアプリに通知バッジがついていた。

【明日は華音さんの誕生日です】

 このアプリは登録アカウントの誕生日が近づくと通知してくれる。

 誕生日なら、なにか贈りたいな。

 華音ならきっと、喜んでくれる。

 でも、女の子にプレゼントなんてしたことがない。

 ピアノのレッスンのあと、ミツキちゃんを送りに来た初田さんにおすすめのショップを聞いた。

 初田さんはいつも上品なアンティークを身に着けているから、センスが良さそうと思って。

 そうしたら、この店に連れてきてくれた。

 セレクトショップWONDER(ワンダー) WALKER(ウォーカー)

 深呼吸してから、店の扉を押しあけた。

 棚に並ぶのは、トルコランプに水タバコの台、アンティークのカップや雑貨、アクセサリーに民族衣装。

 どれもすごくきれいだ。

「どうです? 贈り物はみつかりそうですか?」

 初田さんに聞かれて、恥ずかしいけれど正直に答える。

「……実は、家族以外の人にプレゼントを贈ること自体初めてだから、なにが普通なのかわからなくて。……アクセサリーは、重いかな……」

「こんなに小さいのに? せいぜい十グラムかそこらですよ」

「……初田さん。それ、わざと言ってます?」

「なにか問題が?」

 重量の話なんてしていない。

 素で返されて答えに困った。