当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 翌日から、私は響司くんと話す機会を探した。

 告白して付き合いたいなんて贅沢は言わない。

 せめて、嘘を吐いたことを謝りたい。

 けれど響司くんは昼休みいつも華音ちゃんと二人でいるし、それ以外の休み時間は沢くんと行動している。

 響司くんがピアノのレッスンに来たとき話せればいいけど、だいたいお父さんとピアノの話をしてるからタイミングがない。


 メッセージアプリで伝えればてっとり早いのはわかってるけど、文字で『ごめんね』だけ送るのってそんなの不誠実じゃない?

 うまくいかないままゴールデンウィークが終わって、気づけば五月も半ば。

 私ってこんなにいくじなしだったんだな。

 朝起きてメッセージアプリを開くと、通知に『明日は華音さんの誕生日です』と表示されている。

「……スタンプだけおくればいいよね」

 友だちの誕生日ってふだんならもっとお祝いしよーってなるけど、華音ちゃん相手だとそういう気が起きない。

 華音ちゃんと出会わなかったら、私が響司くんのとなりにいられたかもって、どうしても頭によぎっちゃうから。

「やな子だな、私」

 スマホをベッドに投げて、私はもう一度目を閉じた。