当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 そう、いまさらほんとのこと伝えたって、自己満足にすぎないよね。

 マコトちゃんはちょっと考えてから、人差し指をたてる。

「うーん。たとえばだけどね? 親の仕事の都合で、明日当馬くんがどこか遠い国に引っ越すことになったらどうする? つぎに会えるのは何年後かわからない。もう二度と会えないかもしれない」

 小さい頃からこれまで響司くんと過ごした時間を思い出す。

 嘘ついたまんま、私の本当の気持ち伝えないままで、もう二度と会えなくなる。
 
 響司くんの中で、『沢くんに一目惚れした葉月』のまま。

 でも、告白したら私は『友だちの恋人にアプローチする嫌な女』になっちゃう。

 どうすればいい?

 何度も、自分にといかける。


「…………ありがと、マコトちゃん。ちょっと、頭の中整理できた」

「そっか。少しは役に立てたみたいでよかった。悩んだときはいつでも相談してよ。私はだいたい実家の店にいるからさ。ご飯食べるついでにでも」

 マコトちゃんの家は古き良き食堂。

 かわいらしい看板わんことにゃんこもいるところだ。

「うん。そのときは、またきいてくれる?」
「もちろん」