当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 ダブルデートのあとから、響司くんと華音ちゃんは付き合い始めた。


 華音ちゃんに気を使ってか、響司くんは私と二人きりになる状況を避けている。

 あの嘘を吐く前は、一緒に帰ってくれたのに、今じゃ誘っても、断られちゃう。

「沢に変な勘違いされたくないなら、せめて女子と帰ったほうがいいよ」って言う。

 響司くんの中では、私は沢くんに片思い中。

 当然の反応と言われたら、そうなんだけどさ。

 華音ちゃんと二人でお弁当を食べるとき、おかずの交換なんかもしてるって華音ちゃんから聞いた。

 なにそれ自慢?
 そんなの、私だって幼稚園のときしたもん。

 遠足でお弁当忘れちゃったとき、あげるって、たまご焼きをわけてくれたもん。

 だから、華音ちゃんだけが特別大切にされてるわけじゃない。
 
 そう思って持ちこたえた。