当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 ダブルデートでも、思い通りにはならなかった。

 響司くんにかわいいって言われたくて、頑張ってオシャレした。

 私史上最高な可愛く着こなせたと思ったのに、響司くんてば「沢は人の服装をどうこう言わないと思うから、好きなの着たら?」だって。


 沢くんは私の服を見て「似合うね」って言ったけど、信用できない。

 なんていうか、沢くんの言葉って上辺だけにきこえる。

 似てるんだ。

 私のへたくそな演奏を、「上手だね」って褒めちぎっていたおじいちゃんたちの言葉に、よく似ている。

 友だちがペットの写真送ってきたら、動物好きでなくても「かわいいね」って言うアレ。

 その場が丸く収まるからとりあえず送っとく、メッセージアプリのスタンプと同じだ。

 沢くん、ほんとは似合うなんて微塵も思ってないんだろうなって、察しちゃった。