当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー


「わからないとこあったら、おしえてね。あたし、英語ならおしえられる」

「ありがとう。わからなくなったらたのむよ」

 各教科の先生に前もって言われている試験範囲のページを開く。

 とくに会話もなく、シャーペンを走らせる音とページをめくる音だけが続く。

 何も話さなくても、不思議と居心地がいい。

 静かにノートに要点をまとめていると、レオがテーブルにぬいぐるみをな並べはじめた。

「あのね、きょーくん。このこはぴーたん。このこはしーちゃん」

 カピバラのぬいぐるみとシマエナガのぬいぐるみが、こてんところがる。

 話しかけられたから、なにか答えないと。
 

「レオにはおともだちがたくさんいるんだね」

 レオはニッコリ笑って胸を張る。

「みんな、ぼくがいないとねれないの」

 たぶん逆だろう。
 思っても指摘しちゃいけない。

 一挙一動かわいらしくて、口角があがるのをこらえる。

「いっしょにねてあげてるんだ。やさしいね、レオ」
「うん!」

 レオは隣の部屋に行って、こんどはおもちゃのグランドピアノを運んできた。


 華音は僕の隣で頭を抱えている。