当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 嫌われたくないからって、「応援するよ」なんて心にもないこと言わなければよかった。

 家を出る直前まで、予定をキャンセルするか悩んだ。

 来なければよかった。

 今からでも引き返したい。

 でも、そうなるともうひとり来るという女の子は居辛いだろう。

 待ち合わせ場所の七里ヶ浜駅前には、もう沢がいた。

 沢のとなりには金髪碧眼の女の子が立っている。

 沢はこちらに気づくと、おおきく手をふった。

「よっす響司! こっちこっち!」

「おはよう、沢」

 沢はにこやかに言って、葉月にも声を掛ける。

「葉月ちゃんも、おはよ! 私服姿初めて見た。すっげーかわいい」
「そ、そう? ありがと」

 照れてしどろもどろになる葉月。

 応援しようと決めたはずなのに、二人を目にすると胸が痛む。