当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 ひとつの嘘をかくすために、どんどん新しい嘘を上塗りしていく。

 嘘を吐きすぎて、何が本当だったかわからなくなりそうだ。

 華音はしばらく唸ったあと、両手を叩いた。

「そうだ! キョウジ。スマホかして。いいことおもいついたよ」

「スマホ? いいけど」

 スマホを渡すと、華音は僕の腕にくっついてきた。
 ぴったりと頬も寄せる。

「え、なに?」

「いいから」

 いきなりの密着に、ドクンと心臓がはねた。

 華音はスマホを持ったまま右手を伸ばし、インカメラにしてシャッターを押した。

 そしてその写真を待ち受けに設定した。

 初期設定のシンプルな背景から一変。

 満面の笑みの華音と、油断した僕が写っている。

「うたぐるなら、しんじさせてみせよホトトギス! ってタイガーのノブナガが言ってたね」

「ホトトギス以外間違えてるよ」

 タイガーって、大河? 大河ドラマ?

 織田信長がそんな迷言残したなんて、記憶にない。

「とにかく! 恋人じゃないってうたがう人いたら、これみせればいいよ!」

 華音はピースしながら自分のスマホでも同じように撮影して、待ち受けにする。

「いーい、キョウジ。いいっていうまで変えちゃだめヨ。『ウソついてんだろ』っていわれたとき大変よ」

「……わかったよ。どうせ僕のスマホの待ち受けなんて誰も気にしないからいいか」

 なんて、のんきに考えていた自分を叩きたい。