当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 放課後、華音と二人になってあらためて会議する。

 教室に残っているのは僕らだけだ。

 華音は口をへの字にして、アゴに手を当てる。

「クラスメイトに形だけの恋人にしかみえないってうたがわれるなら、サワと葉月さん、もっと変って思ってるかな?」

「……そう、かもしれないね」

 大して親しくない人から見てそうなら、普段の僕らを知っている葉月と沢を長く騙すなんてできない。

 いくら周りを信じさせるためでも、横井がやってるみたいに人前で抱きしめておはようのキスをするなんて無理だ。

 ただの友だち相手にそんなことするの、華音は嫌だろう。

 かと言って嘘が葉月たちにバレた場合

 質問ぜめされる
『響司くん、なんで華音ちゃんと付き合うことにしたなんて嘘吐いたの?』

 →
 問い詰められて白状する
『ええっ、響司くんって、私のこと好きだったの? 三角関係を回避するためにそんな嘘を?』

 →
 ふられる
『ごめんね、響司くん。私が好きなのは沢くんなんだ。これからもいい友達でいようよ! ね?』

 ……うん。
 気まずいし、想像しただけで負わなくていいダメージがきた。 

 通っている音楽教室は葉月の家だから、学校で避けようと、絶対に葉月と顔を合わせることになる。
 バレないようにするために、なんとしてでもごまかさないと。