当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー


 否定しようとした僕の口を、華音の手が塞いだ。

「はなし、あわせて」

 耳元で囁かれて、口を閉じた。

 反論したいことがあれこれあるけれど、されるがまま、華音になでられるしかなかった。

 教室に戻ったら、騒ぎを見ていたクラスメイトに囲まれて質問ぜめにされた。

「さっきのマジ?」

「子犬みたいにあまえんぼってホントかよー?」

 身長百八十五センチで子犬扱いされたのは初めてだ。

 ……犬に例えるなら、せめて大型犬にしてほしい。