当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 横井のノロケは誇張ではなく、実際彼女と仲睦まじい。

 ホームルームがはじまる直前まで席で彼女と手を繋いで何か話してるし、休み時間にはお菓子の食べさせあいっこをしている。

 近くの席のクラスメイトが「よそいってやれよ、うっとうしい!」「リア充爆発しろ」と切れるレベルだ。

 …………見習えって言われても。

 いくら演技でも、あれは真似したくない。

「横井。世の中の恋人が全員、人前でそういうことするわけ……」

 僕が言い終えるより先に、華音が横井より大きな声で吠えた。 

「そこになおれーーーー!!!!」
 
 叫ぶと同時に、ビシッと横井を指さす。

 気圧された横井が反射的に背筋を正した。

「は、はい!」

「いい、あなた。キョウジはね! おうちで二人きりのときは、子犬ちゃんみたいに、すっごくかわいく、あまえてくるのヨ!!」