当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 昼休みがもうすぐ終わる。

 教室へ戻る途中、廊下でクラスメイトの横井(よこい)が話しかけてきた。

「なあなあ。当馬って、ほんとに阿部と付き合ってんの?」

 横井の声は、日常会話にしてはボリュームが大きい。

 そして一応まだ昼休みだから、廊下には結構な数の生徒で賑わっている。

 そんな中で大声を出すものだから、まわりの視線が僕らに集中した。

「俺なんてさぁ、りんりんと登下校で腕組んで、チューまでしてんのよー。当馬は一緒に弁当食べるだけ。そんなんただの友だちじゃん?」

 見ろよこれ、と言いながら、彼女とのプリクラをびっしり貼ったスマホを見せつけてくる。

 ほっぺにキスしながら撮ったものや、二人の手でハートをつくったもの、それら一枚一枚が、ハートとカラフルなペンでデコレーションされている。

「幼児の恋人ごっこのほうが、まだらしく(・・・)みえるぞ。恋人ってんなら、俺とりんりんを見習え!」

 恋人ごっこ、か。
 そう見えるのも当然だ。
 一緒にお弁当を食べているだけだから。

 本当の事を指摘されただけなのに、なんだか胸がざわつく。