当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー


「ごめんね、テストのときは、遊びに行くのひかえろってお父さんに言われてるの。かわりに、教室で、四人で勉強しよ。ね、華音ちゃんもそれならいいでしょ?」

 もともとキョウジと勉強する予定だったから、問題ない、けど……。

 あたしとキョウジを呼ばなくても。

 仲良くするサワと葉月さんが横にいる中で勉強するなんて、いたたまれないよ。

「お、そうだな。ひとりだとやる気でないけど、葉月ちゃんたちがいるならわかんねーとこも聞けるし。それじゃ、響司呼びに行こうぜ」

「うん、そうしよ!」

 音楽室に向けて走り出す葉月さんとサワ。

 その背中に、「お前ら、廊下を走るな!!」と先生の声が飛ぶ。


 
 せっかく二人きりになれるチャンスをつくったのに。

 あたしなら、好きな人と二人でいれるのうれしいのにな。

 ——どうして葉月さんは、そうしないんだろう。



 考えてもわからない。


 キョウジに会うために、あたしも音楽室に続く階段の方へ歩き出した。