当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー


「石田くん、日直なのにあそびいった。そしたら葉月さん手伝ってくれた」

「……それは悪かったな。態度を改めるよう、一組の木下先生に言って注意してもらうから」

「うん、成敗してくれ」

「せ、せいばいなんて。阿部は難しい言葉知ってるな。ハッハッハッ」

 ん? なんか間違えた?

 先生が頭をかきながら、びみょうな顔で笑った。

 
 無事に国語の先生にテキストを届け終わった。

 葉月さんにお礼を言う。


Danke(ダンケ)。葉月さん。手伝ってくれて、たすかったヨ」
「あはは。お礼なんていいよー。私、たいしたことしてないもん」

 いい子だなぁ。


 職員室を出ると、サワがまだそこにいた。
 先生との話は終わったみたい。

「阿部、葉月ちゃん。このあと暇? コバ(せん)に実力テストまでは部活休みって言われちゃってさー。響司もさそってバーガー屋行かね?」

 あ。これぜったい、あたしとキョウジはいないほうがいい。
 
 ほんとは好きな人と二人きりで行きたいだろうし。
 嘘の恋人設定がさっそく役に立ったよ。

「サワ。あたし、このあとキョウジと勉強する予定。だから、ごはんは、葉月さんと二人でいくといいよ」


 キョウジと二人で勉強の予定はうそじゃない。
 
 好きな人と放課後デート、喜ぶと思ったのに……葉月さんの答えは意外だった。