当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 どう声をかければいいかわからない。

 ……ううん、声をかけちゃいけないんだ。

 これは、ひとりごとだから。

 あたしは壁みたいなもの。

 聞こえていても、聞かなかったことにする。



 それからあたしたちは、ただただ無言で歩いた。

 たどりついた職員室の前に、サワがいた。

 バスケ部の先生となにか話している。

 邪魔しちゃ悪いから、先生とサワにかるく頭だけさげて職員室に入った。

「センセ。国語のテキスト」
「おう、ごくろうだったな。……ん? 吉田は三組じゃなかったか?」

 一応気づいてくれたんだ。