当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 沢が一目惚れしたのが他の子なら、すぐに「応援するよ」と言えたのに。

「応援できない」と言ったら、理由を言わないといけなくなる。

 どう返信を打とうか、しばらく悩んだ。

 そして今日、葉月からの相談が決定打となった。

 沢と葉月が惹かれ合っているなら……僕の出る幕はない。

 僕の気持ちは、二人の恋路の枷でしかない。

 だから

「そっか。僕にできることなら力を貸すから、がんばれ」

 精いっぱいの、下手くそな笑顔をつくるしかなかった。

 告白しても叶わない恋なら、最初から言わない。

 なかったことにしよう。

 気づかれないように忘れよう。

 それが僕の矜持(きょうじ)だった。