当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「日直は、問題集を集めて職員室に持ってくるように」

 六時間目終業のあいさつのあと、国語の先生がそう言って教室をあとにした。

 今日の日直は、あたしともう一人、石田くん。

 石田くんはさっさとかばんを肩にかけると「っしゃ終わり、部活部活!」と言って走っていってしまった。

 え、これあたしがひとりで運ぶの?

 一冊でもぶあついのに、三十冊はさすがに重いよ。

 ほかのクラスメイトも「え、あいつ日直だよな?」とかおをしかめている。

 石田くんはふだんから、そうじもさぼりがち。

 呼び戻してもケンカになるのは明らかだよね。

 …………ひとりではこぶしかない。

 かくごをきめて問題集の山を抱える。

 廊下に出たところで、後ろから声がかかった。

「あれ、華音ちゃん!? なんでひとりでそんなにたくさん持ってるの!?」

 視線だけでふり返ると、葉月さんだった。

 さっと手を伸ばして、上半分をもってくれた。

「これ、職員室までかな? 手伝うよ」

Danke(ダンケ)

 たのまなくても手伝ってくれるなんて。

 こんなにいい子だもん。

 あたしじゃ勝てない。

 サワが好きになるのも、とうぜん。