当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー



 僕も少し飲んでみる。

「美味しい。オレンジの酸味もあって飲みやすいね」

「おいしいよね。カップかわいいから、持って帰るよ」

 クリスマスツリーが描かれたブーツ型のカップ。

 似たようなカップが家のキッチンにも並んでいる。

「おうちにあるのは、Opa(オーパ)のコレクションだから。これはあたしのにする。毎年一個ずつ買う。あと、クリスマスにもう一個買って、レオにカップ送ってあげよ?」

「かわいいカップだもんね。きっと喜ぶよ」

 いまは亡き華音のおじいさん。

 このマーケットでワインを飲むのを楽しみにしていたと、ラファエラさんが話していた。

 華音は飲み終えたカップをハンカチで包んでカバンにしまう。

「来年も一緒に飲もうね、キョウジ」

「うん」