当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 ソファから起き上がって、華音の髪を撫でる。

 華音はあの頃より髪が伸びて、いくぶん大人びている。

 変わらないのは、僕が贈ったバレッタを今でもつけていること。

 軽いノックが聞こえてきて、ラファエラさんが顔を出す。

「お昼ごはん作ろうと思うの。カノン、キョウジくん。メモを渡すから、お買い物行ってきてくれる?」

「はーい」

 メモを受け取って、コートに袖を通す。

 外は雪がちらついていて、吐いた息が白む。

 マフラーをきつく結び直す。

「うぅ、寒い……。これだけは慣れないなぁ」

「鎌倉、雪降らないもんね」

 雪が積もる街は、クリスマスイルミネーションで鮮やかに輝く。