当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 今日はピアノコンクール全国大会。

 こんな日に限って電車が遅延するなんて、ついてない。

 ホームは電車を待つ人がたくさんで、おしくらまんじゅうになってる。

 いそいで別の電車に乗り換えて、会場のホールを目指す。

 スマホで場所を確認しながら走って、キョウジの出番が来る前に、なんとか空いた席に滑り込めた。

 息が苦しい。まだ心臓がばくばくいってる。

 呼吸を落ち着けて、滴る汗をハンカチでぬぐう。

 こんなぎりぎりになるなんて、ロングドレスにして失敗だった。

 パンプスが靴擦れして痛い。

 でも、キョウジの晴れ舞台だもん。

 普段着で来るなんてできないよ。