当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 リビングに行くと、食卓の真ん中にはホールケーキが鎮座していた。

 真ん中に【祝 本選通過】というチョコプレートがのっている。

 席に着くと父さんと母さんがクラッカーをならす。

「おめでとう、響司。お前ならやれるとおれは信じてたぞ!」

「おめでとう、響司。母さんもできることなんでもするから言ってね!」

 ぴらぴらと舞う紙吹雪。 
 僕が小さい頃から、二人はこうやってお祝いしてくれる。

「ありがとう、父さん。母さん」
 
 先生も、父さんも母さんも、こうして支えてくれている。

 だから──

 僕は華音にこの曲を届けるんだ。   

 全国大会まであと一ヶ月もない。

 八月の間はピアノの練習に明け暮れた。