当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「沢らしいな。昔も今も変わらないんだ」

「うん。友だちになりたくて、話してること知りたくて、たくさん日本語勉強したんだ」

 うつむく華音は寂しそうだ。

 元気づけたくて、僕は少し冗談めかして話す。

「僕のときも、沢の方から話しかけてきたんだ。入学式後のホームルームで、隣の席の沢が「お前ポジションどこ? 俺、ポイントガードしてた」って。僕バスケのこと何も知らないから、最初何を言われてるかわからなかった」

 沢の方も、僕が音楽以外の知識ゼロだなんて予想もしなかっただろう。

 バスケの魅力について休み時間が終わるまで延々と語られたのもいい思い出だ。