当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 最後まで弾き終えて、会場にしばしの静寂が落ちる。

 拍手を聞きながら、なんだか清々しい気持ちで頭を下げた。

 舞台から降りた僕に、父さんと母さんが感想を言ってくれた。

 けれど、華音のことが気になって頭に入ってこない。

 もう、熱はさがったかな。

 ……電話したら迷惑かな。


 気づけば結果が張り出されていて、全国大会進出の欄に、僕の名前が載っていた。

「おめでとう、響司!」

「よくやったな! 父さん泣いちゃうぞ」

 ふたりに肩を揺さぶられて、ようやく実感がわいてきた。
 
「そっか、……僕、本選突破できたんだ」

 どうしても華音に聞いてほしくて、スマホの発信ボタンを押していた。