当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「目はお父さん似なんだね。口元はお母さんにそっくり」

「そー。イイトコドリよ。髪はOma(オマ)ゆずり」

 華音は自分の髪をつまんで見せる。

 はちみつのような、深いツヤのある金髪。

「日本に来たばかりの頃、あたしは友だちいなかった。だれも、話しかけてくれない。ほとんど日本語、話せなかったから。さみしくて、Oma(オマ)に会いたくて、ずっとオーストリア帰りたかった」

 引っ越してきたのは六歳のときだと言っていた。

 それくらいの年の子だと、どうしても偏見で人をのけ者にしがちだ。

 すごく太ってるとか、背が低いとか、本人にはどうしようもないことで。

 華音は、一目では日本人に見えない。

 その頃の華音の気持ちを思うと、胸が痛んだ。
 
 華音の視線が手元に落ちる。

「そんなとき「言葉がわからなくてもいいからみんなで遊ぼ」って、ひっぱってくれたのがサワだった。うれしかったよ」

 一人ですみっこで座っている華音に、ためらいなく声をかけて友だちの輪に引き込む沢。

 簡単に想像できる。