当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「キョウジわらわないで」

「ご、ごめん、つい。ふふふっ。僕、兄弟がいないからこういうの新鮮で、僕に弟がいたらこんな感じなのかな」

 ひとりっ子で寂しいと思ったことはないけれど、兄弟がいると賑やかで楽しそうだとは思う。

 兄弟がいる人からしたら、うるさいからひとりっ子のほうがいいっていうかもしれないけど。

「ぼくも、きょーくんにお兄ちゃんになってほしい」 

「……そっか」

 なんて答えればいいかわからなくて、レオのあたまをぽんぽんなでる。

 レオは気持ちよさそうに目を細める。

 法律的には、レオの兄になるのは華音の夫になる人だ。
 まだ幼いレオにはわからない話だから、説明はしない。

 何年か先、レオの義兄になるのは僕ではない誰かだろう。

 想像すると、胸の奥がわずかにきしむ。