当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 昼休みになると、華音が神妙な顔をして教室に入ってきた。
 
 いつもならよくしゃべるのに、今日はお弁当を食べ終えても、なかなか口を開かない。

 コーヒーを一杯飲み干してから、意を決したように話を切り出した。

「……キョウジ、おねがいがある」

「なに」

 華音の声のトーンがいつもより低い。

 こころなしか、疲れているようにもみえる。

「……レオが、花火みたいって言い出した」

「レオが?」

「うん、そう。でも、Papa(パパ)Mama(ママ)は今日おしごとなの。観光ガイドしてる」

「そっか。ガイドならこういう日は特に忙しいよね……」

 今日は登校中、いつもより観光客が多いなと感じていた。

 ツアーの旗を掲げたガイドさんと、後ろに続くお客さんたち。

 駅前も人が多すぎて渋滞になっていた。