当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「美味しい。華音は料理上手なんだね」

「ほんと? 良かった。レオ……あ、おとうとがね。いつもサラダや、スープの、野菜よけちゃうから、なんとか食べさせるのに作ったの。こうでもしないと、食べてくれない」

 華音は困ったように肩をすくめる。

 弟に手を焼くお姉ちゃんの顔だ。

「弟がいるの?」

「うん。もうすぐ四歳になる。レオ、すぐそこの幼稚園、通ってる」
 
 華音は生徒手帳を開いて、二枚の家族写真を見せてくれた。
 
 真ん中には、小さい男の子を抱っこした華音。

 左側に立つのはお母さん。

 お母さんが日本人なんだ。笑顔がとてもやわらかい。

 右側には、黒髪に彫りの深い顔立ちのお父さんがいる。
 瞳は華音と同じ、翡翠のようなみどり色だ。

 もう一枚は、おばあさんと幼い華音が一緒に写ったもの。
 暖炉の前の椅子に座るおばあさんと、その膝に座る華音。
 目鼻立ちも華音によく似た、優しそうな人だ。

 みんなが仲良く笑っていて、見ているだけであたたかい気持ちになれる、そんな写真だった。