当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「今日は待ちに待った鎌倉花火大会だぜぃーーー!! みんな! ノってるかーー!?」

 七月のある朝。

 横井が教室に飛び込んでくるなり叫んだ。

「へー。今日だっけ」

 沢がマンガから目をはなさずに生返事する。

 他の面々も下敷きうちわであおぎながらやる気ない答えを返す。

「おれ彼女いねーから何も楽しくねー」

「はっはっは。かわいそうに。俺はりんりんと花火デートさっ!」

 横井は謎の決めポーズをしながら、僕と沢に矛先を向けた。

「おまえらも彼女いるんだから当然いくんだろ、花火デート」

 つられて、みんながこっちを見た。

 もしかしてこれは、花火デートに行かないと変に思われるか?

 でも華音を夜に連れ出すのは気が引ける。