当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 箸でつまんでひとくち食べれば、馴染みのある焼肉味が口いっぱいにひろがる。

 腰に手を当て、ドヤ顔で感想をもとめてくる葉月ちゃん。

「ふふーん。どう?」

「……この強いショウガ。マルマルの焼肉のタレか」

「タレを当てろなんて言ってないよ!」

 半分冗談で言ったが、当たっていたらしい。

 まわりの席にいた女子グループが爆笑した。

「やっばい。吉田ちゃんおもろすぎるんだけど」

「芸人目指してる?」

「目指してないよ!」

 ほほをふくらませて叫ぶ葉月ちゃん。

「まあでも、約束された味だからうまいな」

「タレがって言いたいんでしょ。ふんだ! 次こそあっと言わせてやるんだから!」

 キュウリ婦人の次は、もやし職人の称号がついた。