当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「華音ちゃんが?」

 箸を持つ手が止まった。

 休日にわざわざコンクールの会場まで足を運ぶなんて。

 華音ちゃん、本当に響司くんのこと好きなんだな。

 そんなに甲斐甲斐しいなら、響司くんに選ばれるのも納得。

 勝手にひがんで聴きにいかなくなった私と大違い。

「まー! 響司くん彼女が居たの? どんな子?」

「しっかりした子だったよ。それにクラシックやオペラが大好きみたいで。あんな子が応援してくれるんだから、響司くんの音色も変わるわけだよ」

 響司くんと華音ちゃんの話で盛り上がる、お父さんとお母さん。

 ……なんだか、コンクール見に行かなかったのを遠回しに責められてるような気がしてくる。

 そんなわけないのに。

 これ以上話を聞いていたくない。

 残りを一気に食べてお皿をシンクに運ぶ。

「ごちそうさま」

「もういいの? スープのおかわりもあるのに」

「んー、ダイエット中だからいいや。お昼に抹茶フラペチーノのグランデホイップ増しで飲んだんだよねー」

「ダイエット中に飲むメニューじゃないだろう……」

 お父さんのツッコミがいつも以上に尖っている。

 本当はベンティにしたかったけどワンサイズ下で我慢したんだから、実質ダイエット成功だよ。

「それにホイップは白いからカロリーゼロってテレビで言ってた」

「…………それはお笑いのネタじゃないかしら」

 お母さんがどこか遠い目をして、おみそ汁に口をつけた。