当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 華音は視線をさまよわせて、じっと僕を見て口を開いた。

「もらうだけなのは、わるいから」

 華音は弁当箱のフタにオムレツを一切れ乗せて、緊張した面持ちで差し出してくる。

「あげる。……あたしが作ったのだから、キョウジのmama(ママ)のたまごやきには、かなわないけど」

「比べたりしないよ。ありがとう、いただきます」

 華音にじっと見られながら、オムレツを口に含んだ。

 バターの香りがして、口当たりもなめらかで、ほんのりと甘い。

 ほうれん草とうすぎりのニンジンもいいアクセントになっている。

 お世辞抜きにすごく美味しい。